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Foundation Diploma in Art and Design: Mr. Keisuke Azuma



留学レベル:

Pre-degree(ファウンデーションコース)

カレッジ:

Camberwell College of Arts

コース名:

Foundation Diploma in Art and Design (Specialist Mode: Art)

留学期間:

2020年10月~2021年6月

留学準備について


Q.英国留学を決心した理由やきっかけを教えてください。

留学を考えだした当初はアメリカへの留学を検討しておりましたが、影響を受けたアーティストに英国・ヨーロッパの出身者が多い点、またロンドン芸術大学のファウンデーションコース受講後に他の国の大学への学部進学も可能な点から、まずは英国への留学を決意いたしました。さらに、英国の大学は専門分野を集中的に学べるという点も魅力の1つでした。


Q.留学準備で大変だったことはありましたか?

美術の専門教養を受けたことがありませんでしたので、ポートフォリオの制作に時間がかかりました。


ファウンデーションコースについて


Q.授業や課題内容はどんな様子でしたか?

私がファウンデーションコースの中で専攻しているFine Art/Paintingは他のPathway(専門分野)と違い自由度がかなり高いです。Textileを専攻しているフラットメイト(同じ寮の友人)は毎日のように課題やディスカッションがあるようですが、Paintingは自主的な制作が主になります。授業は通常10時30分~16時までですが、最初と最後の30分〜1時間以外は何をしても、どこに居ても構いません。一度授業中に、インスピレーションを得るためにクラスメイトとOverground(地下鉄)に乗って少し離れた場所へ出かけたこともありました。他のクラスメイトも教室に留まってチューターの意見を聞いたり、Workshop(作業場)で木材のカットや写真のプリントなどの専門的な作業を行なったりと制作のために自由に時間を使っていました。


カリキュラムについてはPart1~3に分かれています。コロナの影響でPart1のみ週2日キャンパスで授業を受けていました。Part1のDiagnostic*は毎週テーマが変わり、毎週金曜日には小規模の批評会がありました。様々なテーマを通して、自分の専攻以外の制作を行えたことはかなりいい経験になりました。


Part2のSpecialist*ほぼ全てオンラインに切り替わってしまったので来年度は私が今年受けた授業と少し異なるかもしれません。Part1と違って、数週間ごとに異なるテーマで制作を行いました。また毎週金曜日にオンラインでの批評会がありましたが、ほぼ自由参加といった自由な雰囲気でした。他のPathwayでは参加必須であるようです。


Part3ではテーマの提供も無く全て自主制作となります。この時からはキャンパスへの立ち入りが許可されましたが、全員が個人制作となるため登校する学生も少なく、途中で下校する学生もいました。


コース全体を通して特に印象に残っているのは、Part1と2で行われた批評会です。作品に対してクラスメイトからの質問をされることで気づかされることも多いですし、自分では考えもしなかったような作品の解釈を得られることもあり、とてもいい刺激になりました。


*Diagnostic modeとは、様々な分野を一通り学び自分の適性分野を判断する「診断モード」です。Specialist modeは、Part 1より特定のPathway(分野)で課題をこなす「専門モード」です。どちらがよりご自身に合っているのかカウンセラーと相談のうえ出願をし、審査官によって決定されます。


Q.クラスメイトはどんな方たちでしたか?

Paintingは1番学生数が多く、合計で150人ほどでした。コロナ対策で細かくクラス分けられ、私の使っていた教室には10人程度学生が居ました。留学生の割合は3割ほどで、アジア人はその中でも半分もしくはそれより少なく、私の居たクラスで日本人は見かけませんでした。また、Part1ではアジア人は教室に私1人だけでした。


Q.チューターはどんな方たちでしたか?

チューターは全員アーティストで、知識もかなり豊富なので的確なアドバイスがもらえます。私は担当のチューターとのスタイルが真逆だったので何度か厳しい意見を受けたこともありましたが、芸術表現の本質を学ぶ良い機会になったので今ではとても感謝しています。

作品については基本的に酷評されるようなことはありません。ファウンデーションではどれだけ挑戦して自分の表現の幅を広げるかが最も重視されます。また、作品についての説明は詳しく求められます。特に作品制作のプロセスやリサーチの内容は最も重視されます。


大学側もオンラインで難しい対応を求められる中、チューターたちは熱心且つ親身に授業を進行し、学生一人ひとりのサポートも手厚く行なっていました。担当のチューターはクリスマス休暇中もロンドンに留まる私を心配して個人的にメールをくれたこともありました。


他のPathwayではチューターが自費でプリンターをスタジオに設置したり、実際にアーティストを迎えてオンラインで講評を行なっているケースもあり、チューターがアーティストであるからこその熱意を感じました。


Q.ロックダウンにより途中からオンライン授業に移行しましたが、オンラインで良かったことがあれば教えていただけますか?

私は大勢の前で話すことがあまり得意では無いので、小規模での授業は比較的リラックス出来ました。質問も口頭ではなくテキストで出来たことも助かりました。チューター側も、オンライン授業のお陰で例年と比べ学生一人ひとりの作品をじっくり確認することが出来たようです。


Q.逆にオンライン授業で大変だったことや残念だったことはありますか?

学生間のコミュニケーションが乏しいと感じました。前述の通り、私のPathwayではオンラインの批評会が自由参加であったことから学生からのフィードバックは受けにくかったです。アプリを使って他の学生の作品が見れるようにはなっていましたが、それでも実際に見るのとはやはり違いますし、全学生の作品が見れるわけでもなかった点は残念でした。


Q.学校の施設や設備はどのように管理されていましたか?

大学内全施設が予約制となりました。Workshopや図書館等ほぼ全ての施設は事前予約が必要だったので、思い立った時に作業ができず、作業が遅れることに少しもどかしさを感じました。また、卒業生の展示会もオンラインでの開催となりました。


ロンドン芸術大学に留学をしてみて…


Q.そのほか1年間を通して大学生活の感想があれば教えていただけますか?

コロナ禍での留学は厳しく辛いことも多くありましたし、寮に篭っての制作は精神的にも苦しい時もありました。それでも大学が教育、生活面においてありとあらゆるバックアップをしてくれることで無事に乗り切ることが出来ました。


大学の熱心なサポートは本当に心強かったです。制作以外のアカデミックなエリアも手厚くサポートをしてくれました。2021/22年度は恐らく通常の形態により近い状態で大学生活を送ることが出来ると思いますが、コロナ禍ですと友人を作るのが少し難しいのでソーシャルメディアの活用が大事になると思います。



スタジオの様子
スタジオの様子

Q.ファウンデーションコースをお勧めしますか?お勧めする場合はその理由も教えてください。

はい。まずBAより早いペースで様々なことにチャレンジできるのはとても魅力的です。私はPaintingのみを専攻する予定だったのですが、Part1で制作したSculptureやビデオワークも良い評価を頂き、アーティストとして媒体を超えて表現の幅が増えたことは大きな収穫でした。


ファウンデーションコースを修了することで進路の選択肢も増えます。渡航前はCamberwellのPaintingのみを目指していたのですが、ファウンデーションコースで改めてポートフォリオを制作出来たことで、出願したほぼ全てのキャンパス、カレッジよりオファーを頂けました。


Q.実際に留学をしてみて、もっと準備しておけばよかったと思うことがあれば教えてください。

ロンドン芸術大学には英国各地から学生が集いますので、イギリス英語や美術用語にもう少し慣れておけば良かったかなと思います。専門知識が豊富な現地学生も多く、自分が専攻する分野のリサーチをもう少しすべきだったとも感じました。


Q.これからロンドン芸術大学に留学を考えている方へのアドバイスやメッセージをお願いします!

私はコロナ禍での留学となってしまったので、ロンドン留学ならではの魅力は伝えきれないところがあるかもしれませんが、それでも留学に踏み切ったことは全く後悔していませんし、寧ろアートしか向き合うものが無い環境に置かれたことはなかなか出来ない貴重な体験になったと思います。


また、アーティストとしての考え方も良い意味で180度変わりました。才能豊かなクラスメイトの作品を見られることもロンドン芸術大学ならではの魅力だと思います。大きな大学なので、アートを通して様々な価値観に触れられるのはとても良い経験になりました。


ロンドン芸術大学に来てアートと真摯に向き合い、自分の作品が言語の壁を超えて評価されることでアートが心から大好きになりました。アーティストとしての成長を目指す上で、ロンドン芸術大学は素晴らしい環境を提供してくれます。

ファウンデーションコースで制作された作品を送付いただきましたので、いくつかご紹介します。


卒業制作作品

「記憶」をテーマに、自身のスタイルだけに囚われず様々なアプローチから卒業展に向けて制作しました。展示のために20点ほど制作しましたが、チューターから"Less is more"と教わりました。これによって展示の直前に制作テーマに改めて向き合うなど、コースの最終盤まで学びがありました。


Self-portrait

こちらはダイレクトな模写ですが、モチーフと光の加減をかなり調整しました。


ある程度の絵の描写力と現実世界での自分の拙さのコントラストを絵具と、部屋で実際に枯れかけている植物に反映させました。色合いの暗い絵を描くことが多いので、自分の色を暗喩させるために減りの早いチューブとそうでは無いものを並列させました。


My interpretation of 東海道五十三次

日本画、東海道五十三次の抽象表現です。 Specialism等を参考に、敢えて自分の苦手な表現方法に挑戦しました。 制作におけるリサーチの重要性を説いてくれた作品です。

 

ロンドン芸術大学日本担当官よりメッセージ:

Azumaさん、授業の様子などを詳しく教えていただきありがとうございました。2021年度はロックダウンにより途中から授業がオンラインへ移行しましたが、Azumaさんのように少人数だからこそよりチューターからのサポートを受けることができたり、講義では対面では質問しづらいことでもオンラインだとテキストで質問ができたり、授業の録画を見直すことができたりすることなど、メリットも多くあったようです。


Azumaさんは、ファウンデーションコース修了後、Chelsea College of ArtsのBA Fine Artへの進学を決定されました。おめでとうございます!これからさらにアートを学ばれるAzumaさんのご活躍が楽しみです。

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