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Graduate Diploma Fine Art: Ms Kana Kikuchi



留学レベル:

Graduate Diploma

カレッジ:

Chelsea College of Arts

​コース:

Graduate Diploma Fine Art

​留学期間:

2021年9月~

ロンドン芸術大学では様々な経歴をお持ちの方や幅広い年齢の方が学ばれていますが、留学したい気持ちを持ちつつも、仕事や子育てなど日常に忙殺され、夢を諦める方も少なくないかもしれません。今回は50代でUALへの留学を実現された菊地かなさん(仮名)にお話を伺いました。留学をどのように実現し、現地ではどんな経験をされたのでしょうか。


留学準備について



Q. 英国留学を決心した理由やきっかけを教えてください。

留学するまでは独学で絵を描いて展覧会を開いていましたが、やはり美大を出ていないのはデメリットだと感じていました。以前から海外で学びたいという夢はありましたが、長い間、母が病気だったこともあり、日本を離れることはできませんでした。母が亡くなったのをきっかけに具体的に留学を考え始めました。


Q. なぜロンドン芸術大学を選びましたか?

今回留学する前に、試しにUALのショートコースを受講してみたら楽しかったのが理由です。私が今通っているChelsea College of Artsで受講したのですが、カレッジの環境や建物、少人数で授業が行われているところに好印象を持ちました。


Q.どのように出願書類(特にポートフォリオ)をご準備されましたか?

作品は出願の時点である程度揃っていたので、その中から自分らしい作品を選び、審査官に興味を持ってもらうためには、どのような見せ方が良いのかを考えて組み立てました。


また、ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)で開催されたポートフォリオ相談会にも参加し、講師の方が興味を示した作品をメインに入れるようにしました。



ロンドン芸術大学コースについて



Q. Chelsea College of ArtsのGraduate Diploma Fine Artはどんなコースですか?

美大で学んだことがなかったので日本と比べることができませんが、自主性を求められる環境で実技の授業はなく、いわゆる「授業」というのはアートに関するアカデミックな知識を身につける授業のみでした。

「授業」に関しても出席は必須ではなく、自分の制作に役立つテーマを選択して受講するというスタイルで、出席確認やテストも特にありませんでした。

授業では、4回の展覧会と講評会、クリティカルライティング、デジタルポートフォリオの提出、プレゼンテーションが主な内容で、それらに向けて自主的にリサーチをして制作に取り組みました。各展覧会前にチューターから、作品に関するリサーチのヒントや技術的なアドバイス、展示法の提案をもらいました。また、技術面(展示、ITなど)ではテクニカルチームのサポートを受けられたのも良かったです。

クリティカルライティングは自分の作品制作において関連のあるアーティストやテーマに関する論文ですが、提出前にチューターに何度も相談する機会があり、英文のチェックなど、アカデミックなサポートもあったのでとても助かりました。

上記以外に自主的に学内展覧会を企画する学生もいました。 私も制作の機会を増やすために、クラスメイトの企画したイベントや、ウクライナ支援オークション、セントポール大聖堂とのコラボ展に参加しました。

Q. 一週間のスケジュールを教えていただけますか?

月 午前:クラスミーティング(オンライン) 午後:授業(オンラインまたは対面)

水 午前:留学生向けの英語の授業(オンライン)

木 午前:授業(週によって異なる) 午後:授業(対面)

金 午前:授業(オンライン)  

土 スタジオで制作または図書館でリサーチ

空いている時間は自室もしくはスタジオで制作やリサーチをしていました。展覧会の前でなければギャラリーめぐりなどもしました。 二学期はスケジュールがタイトでほぼ制作とプレゼンテーション準備の毎日でした。


Q. チューターはどんな方たちですか?

コースリーダーはアーティスト、研究者、そして二児の母でもある、信頼できる方でした。スウェーデン出身で、ご自身が若い頃、留学生として言葉に苦労された経験から、英語を第二言語とする学生にも分かりやすく話してくださり(ネイティブのチューターは早口で聞き取れないことが多かったのですが)、質問すると丁寧に教えてくれました。何か問題があると迅速に対応してくれて、本当にお世話になりました。

チュートリアルで作品について相談すると、テーマごとに参考になるアーティストや著書を薦めてくれるなど幅広い知識を持った方で、展示方法についても様々なアイデアがもらえ、勉強になりました。

このように尊敬できる教師に出会えたことも留学において大きな意義があったと思っています。

他にはライティングのチューター、展覧会前に相談できるチューターの方々(アーティスト)がいました。やりたいことや作品の問題点を相談すると、どうすればアイデアを実現できるかを一緒に考え、具体的な解決方法についてアドバイスをしてくれました。


Q. クラスメイトはどんな方たちですか?

心理学、文学、理数系など、美大、芸大以外の学部を卒業した学生や大学卒業後に職務経験を築いた方、子育て中の方など、様々な経歴を持った方がいました。年齢層も幅広く、一番上は60代でしたので年齢を心配する必要はありませんでした。むしろ、経験を積んだ学生の方が自分のやりたいことがはっきりしていて、何事にも熱意を持って取り組んでいる印象でした。

半数近くが留学生でしたが、私が在籍していた年はBrexitの影響なのかヨーロッパの学生は少なく、中国からの留学生が多かった印象です。

26人の少人数クラスであったこともあり、チャットで情報交換したりなど、助け合えるアットホームな雰囲気でした。

若い学生とは年が倍近く離れていましたが、逆に親と同年代だといって親切にしてくれたのでありがたかったです。分からないことを質問すると教えてもらえて、本当に助かりました。

同年代のクラスメートにはよく相談にのってもらい、さらには来年部屋を間借りする計画もあるので、卒業後も付き合いが続く友人ができたということは人生で大きな財産になったと思っています。


Q. コロナ禍でオンラインとのブレンド型の授業だったかと思いますが、実際どのように行われていたか教えていただけますか?

留学生の私にとって英語を聞き取ることが大変だったので、オンライン授業でライブキャプション(音声を字幕で見ることができる機能)を使えたのは助かりました。チャット機能で質問をしたり、録音を後で確認できたので、むしろ対面より良かったです。


ロンドン芸術大学に留学して…



Q. Chelsea College of ArtsのGraduate Diploma Fine Artで勉強して得たこと、良かったことを教えていただけますか?

チューターからアドバイスやサポートもらえて、自分一人では実現できなかったアイディアや実験に挑戦できた点が良かったです。また、ただ良い作品を作るのではなく、どのように鑑賞者(オーディエンス)と関われるか、また、「コンテンポラリーアートとは何なのか」を意識して制作することの大切さを学びました。


Q. ロンドン芸術大学日本出願事務局(beo)のサポートを受けて良かったことがあればぜひお聞かせください。

ポートフォリオをどのように作成したらよいか全く分からなかったので、ポートフォリオ相談会が特に役に立ちました。日本人の考える「ポートフォリオ」とはアプローチが根本的に違うのでこの点について専門的なアドバイスが必要だと思います。


Q. 今後の展望、ご活動の予定などがあればぜひ教えてください。

Graduate Diplomaを通して自分の英語力不足を痛感したので修士コース進学を延期してまずはとにかく英語力を上げるために更に勉強したいと思います。

これからロンドン芸術大学に留学を考えている方へのアドバイスやメッセージをお願いします!

正直、私は最後まで授業があまり聞き取れませんでした。 英語ができればもっと多くを学び、授業のディスカッションにも積極的に参加できたと思うので、その点は後悔しています。もし少しでも英語に不安がある方は、出発前にとにかく英語力をアップすることをおすすめします。

 

ロンドン芸術大学日本担当官よりメッセージ

多くの留学生と同じように菊地さんも英語で苦労されたようですが、1年を通して様々な経験をされたこと、とても嬉しく思っています。英語力は留学を実現する上でなくてはならないスキルです。これから留学を目指される方、ポートフォリオ作成はもちろんですがぜひ英語力アップも含めて頑張ってください!

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