留学レベル: BA(学部) |
カレッジ: Central Saint Martins |
コース名: BA Performance: Design and Practice |
留学期間: 2020年9月~ |
2018年にファウンデーションコースに通われた後、現在CSM(セントラル・セント・マーチンズ)のBA Performance: Design and Practiceに在籍されているYoshimotoさんに学部での留学生活についてお話を伺いました。「Performance: Design and Practice」ってどんなコース?「コロナ禍でパフォーマンスデザインをどうやって勉強するの?」といった疑問にもお答えしていただいています。
ロンドンでの生活について
Q.コロナ禍でのロンドンはどんな様子でしたか?
ロックダウン中のロンドンでは出歩いている人はほとんどいなくて、運動や必需品を買いに薬局やスーパーに買い物へ行く人のみが主に外出していました。私も年明けから春休みまでの外出は、ほぼ近くのスーパー(TESCO*)のみで、他は全てAmazonで買い物をしていました。
*TESCO:イギリス全国にある大手スーパー。ロンドンの街中では比較的小さなTESCO expressをよく見かけます。安くて便利。https://www.tesco.com/
私が通っているコースはKing’s Crossという大きな駅の近くで開講されているのですが、2022年1月頃には、キャリーケースを持って遠出をする人が多く見られました。またコロナで休業していたカフェやレストランも昨年と比較するとほぼ全てオープンしているため、私も友達とカフェに行ってブランチをしてきました。マスクは2022年2月現在、公共の場所(バス、電車、映画館、劇場など)以外での着用は義務化はされておらず、実際に外を歩いていてもマスク着用の割合は半々な印象を持ちました。
コースについて
Q. Central Saint MartinsのBA Performance: Design and Practiceはどんなこと学ぶコースですか?
私の通うBA Performance: Design and Practiceは、舞台芸術のデザインを勉強したり、現代の社会問題を考え、それらをパフォーマンス表現で具現化したりするコースです。環境問題、人種差別や性差別の問題など、現代社会における様々な問題に絡めたプロジェクトを学生自らが進んでリサーチして形にしていきます。クラスメイトは、自分とは違った考え方、興味、そして表現方法で課題に取り組むので、とても刺激になります。
2022年2月頃に行われた校外学習では、先生の繋がりでLUXという映像制作会社へお話を聞きに行く機会がありました!その会社では、今まで制作した作品の説明、制作のアプローチやプロセスなどを直接聞くことができてとても勉強になりました。
また、2021年のAutumn Term(秋学期)に対面授業でグループワークに取り組みましたが、その際にクラスメイトが制作した作品が、King’s Cross駅の大学近くのシアターで発表されました。学生だけではなく、外部のお客さんも見にきてくれていて、このような機会が授業内に組み込まれているのは素敵だと思いました!
Q.一週間のスケジュールを教えていただけますか?
月:休み
火:オンライン講義
水:授業(10:30 a.m.〜1:00 p.m.)
木:休み
金:オンライン講義
火曜日は、エッセイなどWritingの書き方をサポートしてくれる「アカデミックサポート」という授業を受けています。私は、エッセイやWritingにどういった内容を入れるべきなのかや適切な参考文献の選び方などを教えてもらっています。
アカデミックサポートは、授業以外で自分に必要なスキルなどを補える予約制のワークショップです。気になるクラスがあれば大学の学生用のポータルから予約して授業を受けられます。第一言語を英語としていない留学生のために、日常会話やアカデミック英語を教わるクラスもあります!
水曜日は「Film section」という授業なのですが、映像作品を見て、何がこの作品の骨組みになるのかというポイントをみんなでディスカッションしながら、アイディアを出し合い、意見をまとめます。ちなみに、先日のLUXへの校外学習もこの授業内で行っています。
面談はパンデミックが現在も続いているので、オンラインか対面かを選ぶことができます。 また、2週間に1度、担当のチューターと面談する時間が30分程設けられています。そこでは、プロジェクトの進行状況確認や、分野内の気になるアーティストや作品をおすすめしてもらっています。シンプルに世間話などで学生の様子を気にかけてくれるので、チューターとの距離が本当に近いと感じます。
金曜日は、現役で活躍するアーティストが、自分のバックグラウンドや制作のプロセスなどについて2時間弱でお話ししてくれる日です。この授業は現在オンラインで行われています。現役のアーティストから直接お話を聞けるのは私自身の制作にも刺激になります!
Q.コロナ禍でのオンラインと対面のブレンド型授業について教えてください。
ロックダウン中の授業は1年間オンラインでの受講し、Autumn Termは日本で受講して、Spring Term(春学期)とSummer Term(夏学期)は現地(ロンドン)の寮の部屋でから受講していました。
大学内のZoomのようなアプリケーションを使って授業に参加します。基本は、マイクとチャット、挙手ボタンがあるので、質問を書き込んだり、マイクを使って話し合ったりできます。授業内容は今まで対面で行ってきた授業をチューターがオンライン授業に合わせた新しい形を変えながら行っていました。
特に印象の深かった授業は、SNSを利用したパフォーマンスを考え発表したことです。私のコースはパフォーマーの空間演出デザインも考えますが、パンデミックの影響によってデジタルオンライン化が進んだのをきっかけに、Instagramのリールや、Tik-Tokを調べて、オンラインで作品をどのように見せることが出来るのかということをグループディスカッションしました。これは、パンデミックならではの授業の取り組みだったと思います。
Q.他に授業で取り組まれた作品について教えていただけますか?
2021年Autumn Termに、「自然×パフォーマンス」が課題として出され、自然に関連したものに沿って制作しました。
私は、玉ねぎの皮を捨てずに化学染料を使わない衣類として使用するというプロジェクトを行いました。具体的には、日本の伝統である染め物のリサーチをして、現代の汚染問題にどう関わることができるのかをレポートに書いて提出しました。
学部1年目は、2500 words & imagesというWritingの提出もありました。自分の作品に対する考え方を述べたり、他の似たような意見を持つアーティストやデザイナーを探して、自分の意見を裏付けしたり、その分野への理解を深めました。学部2年目は3500 wordsとさらに多い文字数での提出が待っています…。
Summer Term(夏学期)から大学の施設が再開されたため、図書館や受付窓口、学食へ行きました。大学内の教室も申請すれば使用可能だったので、グループワークの際に対面でディスカッションができました!
トマトのトーストサンドイッチに、チャイのストレートティーです。
ちなみにCSMは学食の中に、カフェもあるので、軽食やコーヒー、紅茶が手軽にゲットできます。
Q.オンライン授業で良かったことがあれば教えていただけますか?
通学にかかる時間がないので、授業が終わればすぐに自分のやりたいことができたことです。私は、パンデミックで部屋で過ごすことが多くなりましたが、絵を描くのが好きだったので、一日一個簡単なイラストを描いてインスタに投稿をしていました。
それをきっかけに雑貨を作って、1年生が終了した夏休みの8月下旬頃に日本で友達と小さなグループ展を開きました。 普段は大学の課題に追われて自分のやりたいことができないこともあったのですが、通学時間が無くなり、時間を割くことができたので、私はオンライン授業がありがたかったです。
Q.逆にオンライン授業で大変だったことや残念だったことはありますか?
対面の授業だとクラスメイトとの距離がより縮まりやすい環境だったかなと思います。対面だと同じ空間にいるだけでそれなりに話すきっかけが生まれるのですが、オンラインではグループワークをきっかけにやっと仲良くなれたので、喋るきっかけが本当に少なかったです。もしコロナがなければ街も賑わっていたはずだし、せっかくの留学なのでクラスメイトとどこかへ出かけたり、ホームパーティーなどしたかったです。今年に期待です!
クラスメイトで一番仲のいい香港出身のVicky!学部1年生のオンラインの授業の時から、よくSNSのチャットで話していたので授業で会えるようになって嬉しいです。
Q.コロナ禍で、学校の施設や設備はどのように管理されていましたか?
公共の場所、学校やバス、地下鉄などはマスク必須でした。大学内では見回りの方がいて、マスクをしていない学生がいれば注意してくれていました。感染者数はまだ低くはありませんが、自分自身でマスク着用や手洗いうがい、人との距離をしっかり保つように心がけています。街中のお店や大学、そして私の住んでいる学生寮もアルコール消毒の設置も徹底されています。
Q.チューターはどんな方たちですか?
コースリーダーであるチューターのケイト(Kate Lane)先生は、街中にある自然とコラボしたパフォーマンス作品を制作しているアーティストでもあります。コスチュームは自然に関連した材料で作られており、典型的な劇場でのデザインではなく、日常にある環境を活かした演出デザインが特徴です。
昨年のAcademic Year(2020/21)から、ミチコ(Michiko Oki)先生という日本人のチューターがいらっしゃいます。京都大学の人間・環境学研究科を2005年にご卒業された方で、私は日本の環境問題や文化、伝統について知りたい時、または参考資料が欲しい時にサポートしてもらい、日本人アーティストとしての土台作りにすごく役に立ちました。普段の授業は英語でされていますが、おそらく何か困ったことがあれば日本語で対応してくれると思うので、そう思うと心強いです。
Q.クラスメイトはどんな方たちですか?
あまり年齢を聞く機会がないのですが、仲の良いクラスメイトに聞くと大体20歳前後の場合が多いです。クラス全体では18歳から20代前半が多いような気がします。国籍は、イギリスはもちろん、フランス、ドイツ、イタリア、インド、香港、中国の方がいます。
Q.葭本さんは2019年秋よりCCWのファウンデーションコースに1年間通っていたかと思いますが、なぜこのコースを進学先に決めましたか?
もともと劇場美術に興味があったのでUALのWimbledon College of Artsへの進学を考えてCCW(Camberwell, Chelsea, Wimbledon)のファウンデーションへ進学しました。
CCWではAutumn Termの期間にグラフィックやアニメーション、彫刻など様々な分野にAutumn Termの期間で触れて、Spring Termから専門のコースを選べるので私はTheatreのコースを受講し、舞台セットのデザインや小物、コスチュームについて専門的に学びました。
そのTheatre専門のコースにいた際に、Theatre関連コースがあるカレッジがプレゼンをしてくれたので、まずそこで進学先の選択肢について知ることができました。
またファウンデーションコースのFinal Projectで環境問題に触れて制作した際に、チューターに私の作品やプロセスなどを見てもらい、現在のコースを進学先としておすすめしてもらいました。
その後、アカデミックサポートのチューターとも相談して、Wimbledon College of ArtsのBA Theatre designとCSMのBA Performance: Design and Practiceに出願し、両方ともConditional Offer(条件付き合格)をいただきました。CCWファウンデーションコースからCCWの学部(BA)に進学する場合、自動的にOfferをもらえます。*
*入学年度によって異なります。
Q.進学の為の試験などはありましたか?
CSMのBA Performance: Design and Practiceの審査方法は、2019年2月頃に対面での実技演出とポートフォリオの提出がありました。
ポートフォリオは、ファウンデーションコースで制作したものを全てPDFにしてデジタルポートフォリオで提出しました。対面での実技演出は、用意された小物を使って、2~3名のグループでテーマを決めて、1分程度の簡単なパフォーマンスをしました。小物を使ってリズミカルに音を出して表現し、私は相手の学生と犬の被り物を被ってシンメトリーに動くパフォーマンスをしました。パフォーマンス経験は全く必要なく、「何でそのパフォーマンスをしたか」という理由をしっかりと回答できれば大丈夫でした。
Q.BA Performance: Design and Practiceに適している人やタイプなどがもし思い浮かべば教えていただけますか?
社会問題に興味がある方にはかなりおすすめなコースです。学生全員が何かに興味をもち、日頃から調べています。私もCCWのファウンデーションコースで「自然が人間にもたらす良い影響とは?」をテーマに調べて映像作品でパフォーマーを起用して制作しました。それ以来、経済発展による環境破壊や、汚染問題など、環境問題に触れて作品を制作しています。
また、パンデミックによって映像作品での提出が多くなったので、映像作品におけるパフォーマンスの可能性を探っていきたい学生にもおすすめです。
Q.そのほか大学生活の感想、今後の展望、ご活動の予定などがあればぜひ教えてください。
初めは、舞台裏で働きたいと考えていましたが、CCWのファウンデーションコースからCSMのBA Performance: Design and Practiceに進学し、現代社会を通したパフォーマンスアートを考えるようになって、様々な道に興味を持ち始めました。まだ何になれるかわかりませんが、まずは大学を卒業できるように、しっかりと作品作りに取り組みたいです!
コースは、とにかく毎回のタームが終わることに考え方や新しい知識を得られるので楽しいです。
チューターも面白い方が多く、コロナ禍の時はエクササイズから始まるオンライン授業もあったりと自由な環境です。また、常にアンテナを張っている好奇心旺盛なクラスメイトにも囲まれています。彼らもそれぞれが違うゴールを持っていて作品の形がみんな違い、「自分は自分」というペースを保てるので私はこのコースが大好きです。
Q.これから留学予定の方に対するメッセージをお願いします!
ファウンデーションコースに通う前から、日本出願事務局をきっかけに交友関係を持った同じ年のReinaさんと1月下旬に、ロンドンでご飯しました。お互い、パンデミックになってから初めてご飯へいけたので嬉しかったです。 ビザなど特にコロナ禍での渡航手続き等で不安なことがあった時に、お互い情報共有をしていました。
この日は、3coinsに売っている「電子レンジで10分で美味しいお米が炊ける便利グッズ」などを教え合っていました。これのおかげで、高い炊飯器を買う必要なく、時間をかけてお鍋でお米を炊かずに過ごせるようになったので、これから留学される方にもおすすめです!
こんなふうに、もし自分に近い年齢や境遇の友達を見つけたら、連絡先を交換しておくと留学中お互いに助け合える関係になれるのでおすすめです。
ロンドン芸術大学日本担当官よりメッセージ:
Yoshimotoさんは、ファウンデーションコースを修了された後、CSM(セントラル・セント・マーチンズ)のBA Performance: Design and Practiceにご進学されています。ファウンデーションコースの体験談はこちらから!
Comments